紡ぐ輪
在りし日の憧憬
   〜名もなき花〜



耳を澄ますと風の囁きが聞こえる
目を閉じると豊かだった多摩川の河原が浮ぶ

立ち止まると足元には
色とりどりの花達が咲き競っていた

生き物たちが命の謳を歌う春も
川面が銀色に輝く夏も
鳥たちがねぐらに急ぐ秋も
静寂の真白き冬も

季節が変わり
時は移ろい・・・

岸辺の景色も変わっていった・・・

今はもう風になびくオギの海原もなく
鳥の囀りさえもまばらだけれど

名も無い小さき花達の命だけは
白いキャンバスの中で蘇った



絵:岸辺の四季のkazuyoさん


詩&テキスト:さなえ(花の庵)

BGM:星の吐息・・すれ違い