紡ぐ輪
〜かりんの木〜

ふるさとの庭に
かりんの木が一本あった

大きくなったらかりん酒を造ろう
そういって母が植えていた

いつの間にか私の背より大きくなり
もっともっと大きくなり

桃色の愛らしい花を咲かせた

いく年月が流れ
それから毎年五月になると
そよぐ風が花びらを震わせている

かりん酒を造らないまま
母は老いて・・

縁側に座り
木を見上げた母の瞳に
何が映っているのだろうか




phot:MyfiowergardのRoseさん


詩&テキスト:さなえ(花の庵)