紡ぐ輪
ビーナスの帯
    
〜初冬のアヤメ平〜

だ夜が開けやらぬ山道を
僕はたった一人で登ってきた

月の灯りに導かれ
星の煌きに誘われて

吐く息は白く
指は凍りそうなほど冷たいけれど
心預けた夢幻の大地に会うために・・・

やがて・・赤い月は音もなく沈み
静かに黎明の刻を迎えたアヤメ平

至仏山の向こうには
神秘のベールを纏いながら・・・青い影

そして雪原を、薄氷を
僕の顔も身体までをも薄桃色に染め上げて
ビーナスの帯がゆっくりと現れた

目の前に繰り広げられる荘厳なドラマに
声もなく佇みながら
つかの間の刻を心の奥底に焼き付けた



phot:「尾瀬夢幻」のアクアさん

ビーナスの帯

詩&テキスト:さなえ(花の庵)